2021年03月12日
【しぐレシピ 蜜焼き芋 2021春】
凄く甘い焼き芋を作りたい。
今年は色々と試せた為、段々と完成に近づいて来ました。
まだ途中ではありますが焼き芋シーズンも終盤なのでレシピでを公開します。
蜜でベトベトな焼き芋を作る為のレシピです。
(温度計は数個用意して正確な温度を把握して下さい、2度も違ったらアウトです)
芋の種類は紅はるかが一番簡単ですが、私が美味しいと感じるのはシルクスイートです。
サイズは色々試しましたが、火の入りや繊維の細さを考えても150~200g程度のサイズが良いですね。
300~400gの大きい焼き芋を頑張って作った事もあります。
上手く出来ると感動しますが、繊維が太くてどうしてもゴワゴワ、結局200g以内に戻りました。
加熱は低温での加熱と最後に焼き上げる本加熱とに別れます。
ではスタート。
低温調理器等で85℃を保ったお湯に生の芋を1時間入れて下さい(約30~40分で芋の内部温度は85℃になりますので最低でも40分は入れて下さい)(極端に温度が下がらないようであれば何本も一緒に入れてOKです)
このお湯の温度はギリギリ82℃まで下げる事も可能ですが、80℃まで下げて長時間加熱した場合、
ごく一部の芋に、ペクチン硬化が起きて食べられない芋が出ます。
ペクチン硬化が起きた芋は白濁していて、どんなにその後加熱してもボソボソのままで食べられなくなります。
ギリギリで82℃、芋投入で温度が下がる事も見越して85℃が安全です。芋投入後、どうしても温度が下がります。
出来るだけ早く85℃まで戻しましょう。
もっと高温でも蜜焼き芋は出来ますが、沸騰させるのだけはダメです。芋内部が沸騰すると水分と一緒に糖が外に出てしまいますからね。
温度が低い方が比較的糖度は高いです。
85℃加熱 糖度40度
98℃加熱 糖度36度
そんな感じです。
論文を読んで糖度を上げる為の糊化やβアミラーゼの活性うんぬんに目が行くと、80℃以下(76℃等)の低温長時間加熱に目が行きますが
失敗の確率が増えます(ペクチン硬化)
多くの論文は糊化や糖度だけを観察、計測している為、食感は無視しています。
また非常に薄くスライスした芋や擦り下ろした芋を加熱して様子を見ている為、焼き芋のように徐々に低温から時間を掛けて加熱される
芋の変化までは考慮していません。
多くの論文を読む事は否定しませんが、通説を信じ50~70℃帯をゆっくり加熱すると食べられない芋が出来上がります。
ペクチン硬化を避ける為にも芋の内部温度を80℃までいかに短時間で上昇させるかの方が重要なのです。
85℃のお湯で1時間の加熱が完了したら後は芋の中心温度を100度まで上げるだけ。
蜜ベトベトの焼き芋を作りたい場合はアルミホイルを必ず巻いて下さい。乾燥を防ぎたいので2重巻きが理想です。
巻き終わったらアルミホイルと芋を出来るだけ密着させて下さい(芋とホイルとの空間を狭くして吹き出てきた蜜を可能な限り芋に戻したいのです)
ここからはオーブン(150℃)で60分程加熱して完成です。
85℃の加熱が終わった後に冷蔵庫で保管して、翌日オーブンで焼いてもOKです。
冷えているのでこの場合は加熱時間は90分程度にして下さい。
ホイルを巻いてある場合は、乾燥を防げる為もっと加熱時間を伸ばせますがここから先はお好みで。
出来上がった芋、蜜ベトベトで身に透明感が出ていれば成功です。(少しだけ濁っている個体もありますね)
アルミホイルを巻いた芋と、巻いていない芋。
巻いていない芋は蜜が芋の外に落ちて無駄になる為、どうしても糖度が下がります。
同じ条件で作っても糖度が5度程度低いです。
ただし、巻かない方が皮がパリパリして焼き芋っぽいので私は好きですね。
こんな感じで作った焼き芋の糖度は簡単に(紅はるか)35~40度を超えてきます、芋の外に出た蜜は60度以上になります。
糖度を確保したい場合は皮の外に出た蜜を可能な限り身に戻す為にオーブン加熱前に皮に何箇所も切れ目を入れておくのも良い方法です。
不思議なのですが、この作り方をしてから紅はるかの糖度をシルクスートが超える事があるのです。
シルクスート(身の中心部分)で37度とかですね。
この糖度であの滑らかな食感は...唯一無二、紅はるかには出せないので、シルクスートで作る事が増えました。
まだ試していない実験があります。
85℃以上での5℃刻みでの加熱実験。温度と加熱時間と糖度の関係が気になります。
糖度に大きな差は無い事は確認済みですが、もう少し詰めたいですね。
それと、糖度を上げる実験をすればする程「焼き芋」の概念から遠ざかるのも気になります。
「すごく甘い」のを求めて来ましたが、糖度が35~40度を超えてくるともうただ甘いだけ。
最近は品種ごとの個性を求めるようになりました。
今後の研究はホクホク系の「紅あずま」「なると金時」等に移って行く気がします。
めっちゃ甘くて、蜜ベトベトの焼き芋は上記のレシピで誰でも簡単に作れますので是非チャレンジしてみて下さい。
「しぐレシピ 蜜焼き芋 2021春」は以上です。
今年は色々と試せた為、段々と完成に近づいて来ました。
まだ途中ではありますが焼き芋シーズンも終盤なのでレシピでを公開します。
蜜でベトベトな焼き芋を作る為のレシピです。
(温度計は数個用意して正確な温度を把握して下さい、2度も違ったらアウトです)
芋の種類は紅はるかが一番簡単ですが、私が美味しいと感じるのはシルクスイートです。
サイズは色々試しましたが、火の入りや繊維の細さを考えても150~200g程度のサイズが良いですね。
300~400gの大きい焼き芋を頑張って作った事もあります。
上手く出来ると感動しますが、繊維が太くてどうしてもゴワゴワ、結局200g以内に戻りました。
加熱は低温での加熱と最後に焼き上げる本加熱とに別れます。
ではスタート。
低温調理器等で85℃を保ったお湯に生の芋を1時間入れて下さい(約30~40分で芋の内部温度は85℃になりますので最低でも40分は入れて下さい)(極端に温度が下がらないようであれば何本も一緒に入れてOKです)
このお湯の温度はギリギリ82℃まで下げる事も可能ですが、80℃まで下げて長時間加熱した場合、
ごく一部の芋に、ペクチン硬化が起きて食べられない芋が出ます。
ペクチン硬化が起きた芋は白濁していて、どんなにその後加熱してもボソボソのままで食べられなくなります。
ギリギリで82℃、芋投入で温度が下がる事も見越して85℃が安全です。芋投入後、どうしても温度が下がります。
出来るだけ早く85℃まで戻しましょう。
もっと高温でも蜜焼き芋は出来ますが、沸騰させるのだけはダメです。芋内部が沸騰すると水分と一緒に糖が外に出てしまいますからね。
温度が低い方が比較的糖度は高いです。
85℃加熱 糖度40度
98℃加熱 糖度36度
そんな感じです。
論文を読んで糖度を上げる為の糊化やβアミラーゼの活性うんぬんに目が行くと、80℃以下(76℃等)の低温長時間加熱に目が行きますが
失敗の確率が増えます(ペクチン硬化)
多くの論文は糊化や糖度だけを観察、計測している為、食感は無視しています。
また非常に薄くスライスした芋や擦り下ろした芋を加熱して様子を見ている為、焼き芋のように徐々に低温から時間を掛けて加熱される
芋の変化までは考慮していません。
多くの論文を読む事は否定しませんが、通説を信じ50~70℃帯をゆっくり加熱すると食べられない芋が出来上がります。
ペクチン硬化を避ける為にも芋の内部温度を80℃までいかに短時間で上昇させるかの方が重要なのです。
85℃のお湯で1時間の加熱が完了したら後は芋の中心温度を100度まで上げるだけ。
蜜ベトベトの焼き芋を作りたい場合はアルミホイルを必ず巻いて下さい。乾燥を防ぎたいので2重巻きが理想です。
巻き終わったらアルミホイルと芋を出来るだけ密着させて下さい(芋とホイルとの空間を狭くして吹き出てきた蜜を可能な限り芋に戻したいのです)
ここからはオーブン(150℃)で60分程加熱して完成です。
85℃の加熱が終わった後に冷蔵庫で保管して、翌日オーブンで焼いてもOKです。
冷えているのでこの場合は加熱時間は90分程度にして下さい。
ホイルを巻いてある場合は、乾燥を防げる為もっと加熱時間を伸ばせますがここから先はお好みで。
出来上がった芋、蜜ベトベトで身に透明感が出ていれば成功です。(少しだけ濁っている個体もありますね)
アルミホイルを巻いた芋と、巻いていない芋。
巻いていない芋は蜜が芋の外に落ちて無駄になる為、どうしても糖度が下がります。
同じ条件で作っても糖度が5度程度低いです。
ただし、巻かない方が皮がパリパリして焼き芋っぽいので私は好きですね。
こんな感じで作った焼き芋の糖度は簡単に(紅はるか)35~40度を超えてきます、芋の外に出た蜜は60度以上になります。
糖度を確保したい場合は皮の外に出た蜜を可能な限り身に戻す為にオーブン加熱前に皮に何箇所も切れ目を入れておくのも良い方法です。
不思議なのですが、この作り方をしてから紅はるかの糖度をシルクスートが超える事があるのです。
シルクスート(身の中心部分)で37度とかですね。
この糖度であの滑らかな食感は...唯一無二、紅はるかには出せないので、シルクスートで作る事が増えました。
まだ試していない実験があります。
85℃以上での5℃刻みでの加熱実験。温度と加熱時間と糖度の関係が気になります。
糖度に大きな差は無い事は確認済みですが、もう少し詰めたいですね。
それと、糖度を上げる実験をすればする程「焼き芋」の概念から遠ざかるのも気になります。
「すごく甘い」のを求めて来ましたが、糖度が35~40度を超えてくるともうただ甘いだけ。
最近は品種ごとの個性を求めるようになりました。
今後の研究はホクホク系の「紅あずま」「なると金時」等に移って行く気がします。
めっちゃ甘くて、蜜ベトベトの焼き芋は上記のレシピで誰でも簡単に作れますので是非チャレンジしてみて下さい。
「しぐレシピ 蜜焼き芋 2021春」は以上です。
Posted by しぐ at 13:59
│超蜜やきいもレシピ実験│料理&低温調理(Anova)